新入社員でも技術が優秀なら、必ず主任研究員になれるし、さらに主席研究員になれます。
また、人数に制限のあるピラミッド型組個人が組織につぶされない会社注目すべきはこのとき採用されたH技術研究所の人事政策である。
H氏は、「HSの遺伝子」を純粋培養するには、サラリーマン化した組織では不可能であると考えたはずである。
日本企業では今日でもその傾向が強いが、ゼネラリストとして人を育て中間管理職として処遇していく傾向が強い。
経営一般に対する見識は深まってもスペシャリストとしての可能性は殺されてしまう。
ましてや、S氏のような天才的な才能が育つことは望めない。
H氏が研究所を別会社にしなければならなかったH氏は、Hをあくまでも製造業として位置づけ、その経営者は技術系であることを絶対条件と織と違って、人間同士の摩擦がない。
この研究所がHの元本です。
競争メーカーがどう出てきても、まったく脅威を感じないでいられるのは、この前衛部隊があるからです。
(「経営に終わりはない」)H技研の社長は技術系の人が受け継いで行くべきだ、と私は思ってます。
たとえば経理出身とか銀行出身の人が社長になっても、技術というものを理解できない。
「そんなものは後まわし」ということになってはたいへんです。
生産企業はどうしても技術が主体で、学校出たばかりのときは自分でやり、社長になったら、ひとのやっていることが理解できる、要するに、もう高いレベルに進んでいる技術を、世界的観点から理解できる人材が社長になるべきだと思います。
H氏はこの「Hの元本」の研究所から、S氏以降の代々のH社長を選ぶつもりでいた。
S氏のあとを継いだK氏、さらにそのあとのK、Yの各氏、それに現社長のH氏まで例外なくH技術研究所の社長経験者である。
これは今日までHの伝統になっている。
将来、Hの経営に異変が生じるとすれば、この伝統に逆らう動きが出るときであろう。
外堀を埋められた創業者もっとも、H氏によるこのような「隔離政策」を、当のS氏自身はどう受け止めたであろうか。
関係者の証言には複雑なものがある。
Hさんは、オレはわからねえ、とまわりの者に言った。
Hさんは職人ですから自分の仕事が好きなんです。
仕事ができることだけで十分なんです。
でもひと一倍直観力がすごい人なので、この件でHさんが自分をどう見ているのか、ある感じを持った筈です。
Hさんも53歳になる。
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